猫の捜し物

2019年2月28日木曜日

短編小説

t f B! P L
初出 2013.07.20



ねぇいつまでそうしているの?
僕は彼に問いかける。
彼は一心不乱に顔と前足を動かして、僕に返事一つよこさない。
その様子の彼を見て、僕はその場に座ってため息をつく。
もうあれからずいぶんと経っているが、いっこうに彼はここを動こうとしなかった。
がさがさ。がさがさ。
静かな昼間に、彼の音だけが響く。
彼がなにを必死に探しているのか、僕は知らなかった。
知る必要は、ないと思った。

太陽の日に当てられながら、僕はずっと彼を見つめていた。

Novella

糸繋ぎ、四季踊る
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